人形の夢と目覚め WATCH

sol-fa-soft WATCH

■data
アーカイブ容量:およそ95MB
収録CG数:原画25枚、差分74枚くらい
スクリプト容量:289KB
(CD版)
2004年12月下旬、各ショップにて販売開始
2004年12月30日、コミックマーケット66にて販売(315/575)
販売価格:1575円
初期製造数:3500
(DL版)
2004年12月27日、DLsiteにて販売開始
販売価格:1575円
販売初日DL数:306
販売初週DL数:910
■staff
企画、脚本、音楽、シナリオプログラム:桐原巳弥人
原画、CG:棚葉
システム提供:秋山構平
◆◆ ■link
紹介ページ
DL販売ページ@DLsite
DL販売ページ@デジケット
DL販売ページ@elfics
DL販売ページ@萌えこん

■内容
男の子と女の子が、幼い知識でいちゃいちゃする話。
うーん、こうして要約してみると、特に魅力的な要素ってのはないのかなあ。
なんか俺ひとりで盛り上がってるだけだったっぽい…。


■企画事情

 作品番号の「solfa08」という数字が示すように、製作開始自体がかなり前なので、覚えてないことも多いんだけど…。
 企画書の日付は2003年1月。男湯の後、ゆーわくの前という時期だ。
 「2ヶ月で製作し、2003年2月中の発売を目指す」とか書いてあるけど無理に決まってるじゃん、アホか当時の俺。
 結局発売まで2年弱かかったわけだけど、そのへんについては脚本事情で。

 目指したのは、「調教シミュレーションっぽいアドベンチャーゲーム」。
 (その割にはしっかり「性の目覚めシミュレーション」と銘打ってるけど…)
 とにかく、ちゃんとしたシミュレーションゲームほどの煩雑さを持たず、シミュレーションの気分だけ味わえるような感じになるといいなあ、と。
 最終的に、その理念だけはおおむね成功しているように思えるが、うーん……やっぱり気分だけじゃつまらんってことかなあ。
 つまり、この企画自体が失敗である、に一票。


■表題事情

 企画時点でのタイトルは「お嬢様のヒミツ!2」となっている。
 これは最終的にはサブタイトルとして採用した。目立たねえー。

 メインタイトルは、オースティンのピアノ曲から取った。タイトル画面で流れる曲で、俺でも弾ける簡単な練習曲なんだけど。
 しかし、これはちょっと、大きな問題を抱えていることにリリース後に気づいた。
 人形の夢と目覚めって、平易で、よく練習曲になる楽曲なので、子供とかがこのタイトルで検索かけちゃうかもしれない。
 それでうちのサイトが出てきた日にゃあ……もう想像するだけで恐ろしい。ぶるぶる。
 でも、「お人形の夢と目覚め」と翻訳されていることもよくあるみたい。そっちで検索かけるのが普通だと信じよう。
 欺瞞だ。


■脚本事情

 「男湯」のリリースと初参加の冬コミの後、春までサボりつつもちくちくとシナリオを書きためていた。
 しかし書いても書いても終わらない。
 このままじゃ夏コミに間に合わないかもーってことで、すぐに作れる企画(ゆーわく)をでっちあげ、人形の製作は凍結。
 ここまでが開発前期。たぶん執筆状況は30%くらいだったと思う。
 ちょうど会社を辞めるかどうか迷ってた時期だな。なんとなくその頃の気分を思い出すなあ…。

 その後この製作は、1年半くらいほったらかしだった。
 いつか再開したい気持ち半分、いつまでも放っておきたい気持ち半分って感じで。
 製作を再開するきっかけになったのは、ユーザの声だったんじゃなかったかな。
 「真夏のお楽しみCD」に人形のプロローグ部分を収録したら案外評判が良くて、「これの続きまだー?」という投書が相当数あった。
 ありがたいことですわ。これがなかったら絶対凍結したまんまだったと思う。

 とか言いつつ、再びシナリオを書き始めたのは2004年11月中旬。その年の冬コミの〆切まであと2週間という日程。
 製作凍結していた間に想像した登場人物の行動や展開などもあったから一概には言えないんだけど、
 これなら開発当初、凍結せずにそのまま製作を続けていても充分その年の夏コミに間に合ったのではないか。
 そんな気もしてしまう今日この頃であります。

 一番表現したかったのは、「子供の中の大人」かな。
 つまり、子供にも精神的に冷めている部分があったり、大人と同じ理念で行動していたり、そういう部分。でも発言はしっかり子供だったりとかね。
 それは、主人公についてはそこそこ上手く書けたと思う。彰くんの考え方は、子供の頃の俺にかなり似ている。(笑)
 一方かすみは「強気な発言には流されてしまうお姉さん」というつもりで書いたんだけど、どうだろう。
 前半とか、ちょっとムラができてしまったかなあ、と自分では思っている。製作途中に間が空いたのが大きな原因となっているのは間違いない。


■画像事情

 こちらも、開発前半に描かれたものと、後半に描かれたものに分かれている。
 絵担当の棚葉氏は、後半の製作に入る前「ぜんぶ描き直したい」って言ってたけど、結局時間の関係とかでそれは叶わず。
 や、やっぱり俺のせいかなあ…。

 指定とかに関して気が楽だったのは、ほとんどのイベントが独立していること。
 セックスシーンは汎用Hシーンに任せて、他の絵ではそれに関係ないちょっとしたエロシチュエーションが単発で使えること。
 これは、sol-fa-softで(俺が個人的に)目指しているものの実現にとって、かなり都合がいいのだ。
 もっとも、これは企画や脚本についても言えることなんだが…。

 汎用Hシーンの差分とかについては棚葉氏にものすごくご迷惑をおかけした。俺のシナリオ執筆回路(?)にもご迷惑をおかけした。
 具体的には、例えば……プールでのHシーンは、全裸にしとけば背景をプールに変えるだけで実現できるな、と思ってたんだけど、
 実際の絵は全裸でも足袋を履いていて、これをプールで使うのはちょっと……という状態だったり。つまり俺のチェック漏れなんだけど。
 まあ、つまり、事前にしっかり計画しましょうってことだ。ごめんなさい。

 個人的には、とにかくこういう髪型で和服な女の子を描いて欲しかったのでそれだけで満足。とか言ってみる。


■音楽事情

 使用している4曲、全てクラシックのピアノ曲ですね。
 ビゼーの「メヌエット」、オースティンの「人形の夢と目覚め」、ゴセックの「ガヴォット」、エルメンライヒの「紡ぎ歌」。
 我ながらいい選曲だなあと思うのは、メヌエット以外は演奏がかなり簡単で、例えば俺でも初見で弾けるくらいの感じ。これらを日常シーンに使う。
 一方メヌエットはゆっくりだけどちょっと難しくて、これはHシーンとか、あとはちょっと切ない場面とかで使っている。
 これで二人の「成長」を表現しているわけですよ。ナイス俺!!(ちょっと空しく)


■組込事情

 シナリオプログラムに入る前に、シナリオのほとんどは終わっていた。
 しかし(いつものことながら)シナリオが「ほとんど終わった」のがかなりギリギリ。マスター入稿〆切の当日だった気がする。
 それでも書いていない汎用Hシーンのパーツがいくつかあり(プログラムとの整合性で少し変更が起こるかもしれないという配慮)、かなり焦った。
 汎用Hシーンのプログラムが一番辛かったのは予想通りだった。しかし絵との整合性を考えなければならなかったのはわりと予想外…。
 プールのHシーンは今までの作品で一番みっともない誤魔化し方になってしまったが、あれしか方法がなかった。申し訳ない。

 技術的には……ええと、選択肢をテキストレイヤーで画面のまん中へんとかに出したのはこれが初めてだったかな。
 あとは、汎用Hシーンの画像表示においてサブルーチンを多用した。というか汎用Hシーン自体もサブルーチンか。

 それから、これについても書かなければなるまい。憂鬱だ。
 sol-fa-softで初めて、致命的なバグを出してしまった。初期版(現在も流通しているCD版も含む)は、プレイ中、テキスト枠を消去できない。
 入稿した次の日にシステムの秋山氏に指摘され、ものすごくヘコんだ。よりによってそこにバグを出すか俺ー! みたいな。
 原因は明らかに、「ギリギリまでシナリオを書かない(書けない)病」。これ、なんとかならんのかなあ。
 努力でなんとかなるという問題ではない、というか、正直あんまり努力するつもりもないというか…。
 「ギリギリに書いたものの方が内容が良い」というのは錯覚じゃない気がするし…。


■事後事情

 評判は、一言で言うと「悪い」。す、すみません…。
 やっぱ、汎用Hシーンが駄目という意見が一番多いだろうか。そうだよなあ。自分でも作ってて面白くなかったし。(駄目発言)
 その中でも、かすみの性格を褒められたり、初代「お嬢様のヒミツ!」との繋がりが面白かったという感想はとても嬉しかった。
 しかし彰くんを褒められたことはない。当たり前か。(笑)

 ところで、アンケートではこの時期、The Dungeon In Yarnさんの「こうかん☆にっき」を推す人がとても多かった。
 どっかで書いたことあると思いますが、俺もこの作品は家宝にしています。


■反省事情

 汎用Hシーンは二度とやらない。これは誓おう。
 ちゃんと上手くやれば面白くなるんだろうけど、たぶん俺にはその能力がないと思う。
 というか、そもそも作品の規模が大きいのが一番の敗因か。
 もっとちまちま作ろう。それがsol-fa-soft(というか俺)には向いている。それは明らかだ。

 以上、いろいろと勉強になった作品でした…。


sol-fa-soft WATCH

Created by KIRIHARA Miyahito
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